役員運転手の労働時間と労務管理|待機時間の扱いと自社雇用のリスク【役員専属ドライバー】

役員運転手を自社で雇用している企業から、よく相談をいただくのが労働時間の扱いです。朝の送迎から夜の会食対応まで拘束時間が長くなりやすく、待機している時間を労働時間に含めるべきかどうかの判断も分かれます。

この論点は、実際に是正指導や送検に至った事例もある、無視できないリスクです。2025年2月には、役員付運転者に36協定の上限を超える時間外労働をさせたとして、自家用自動車管理業者が書類送検されたことが報じられています。最も長い方では、月124時間を超える時間外労働があったとされています。

この記事では、役員専属ドライバーの派遣を行うクアッドリレーションが、役員運転手の労務管理で問題になりやすい点と、自社雇用・外部委託それぞれのリスクの持ち方を整理します。

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役員運転手の労務管理が難しい理由

役員のスケジュールに左右される

一般の社員と違い、運転手の勤務時間は役員の予定で決まります。会議が延びれば待ち、会食が入れば夜まで、出張が入れば早朝からになります。

前述の送検事例でも、顧客からの呼び出しに応じた運転によって時間外労働が延びていたという見方が示されています。予定の変動が常態化すると、月の上限管理が機能しなくなります。

朝夕の送迎は時間外になりやすい

始業前の迎えと終業後の送りは、所定労働時間の外側に出ます。これを時間外労働として扱っている企業は多く、積み上がると36協定の上限に近づきます。

シフト制で勤務時間を動かして対応する方法もありますが、その場合は事前に勤務時間を明示し、雇用契約に書かれていない対応で不利益を与えないよう注意が必要です。

最大の争点は「待機時間」の扱い

手待時間は原則として労働時間

役員が会議に入っている間、運転手は車内や待合で待機します。この時間を「休憩」として扱っている企業がありますが、判断の基準は休んでいるかどうかではありません。

厚生労働省のガイドラインでは、使用者の指示があれば直ちに業務に従事しなければならず、労働から離れることが保障されていない時間、いわゆる手待時間は労働時間として扱うとされています。

つまり、呼び出されたらすぐ動かなければならない状態であれば、車内で待っている時間も労働時間です。自由に食事に出られる、帰宅してよいといった状態でなければ、休憩とは言えません。

後から覆った事例もある

労働基準監督署が当初は残業と認めなかった待機時間について、労働局が再度検証した結果、残業と認めて労災が認定されたと報じられた事例もあります。

社内の判断で「これは休憩」と整理していても、後から覆る可能性があるということです。

監視・断続的労働の適用除外という選択肢

労働基準法41条では、監視または断続的労働に従事する者について、労働基準監督署長の許可を受けることで労働時間や休憩・休日の規定の適用を除外できるとされています。役員運転手がこの許可を受けている場合もあります。

ただし、許可の判断基準のひとつとして、実作業時間と手待時間がおおむね折半程度であることなどが挙げられており、常時運転しているような実態では認められません。また、深夜業の割増賃金の規定は適用除外になりません。許可を受けているから深夜手当も不要、という理解は誤りです。

自社雇用の場合に整えるべきこと

  • 労働時間の記録:始業・終業だけでなく、待機の開始と終了も記録する
  • 36協定の締結と上限管理:月ごとの残業時間を集計し、上限に近づいた段階で手を打つ
  • 休憩の実態確保:形式上の休憩ではなく、実際に労働から離れられる時間をつくる
  • 深夜・休日の割増賃金:会食対応や休日の送迎について、割増分を適正に支払う
  • 代替要員の確保:1人体制だと、休ませたくても休ませられない構造になる

最後の代替要員は特に重要です。専属の運転手が1人しかいない場合、その人を休ませると役員の移動が止まります。結果として休日出勤や長時間労働が常態化し、上限を超えていくという構造が生まれます。

外部委託なら、労務管理ごと任せられる

労働時間の管理責任の所在

派遣や業務委託で運転手を確保する場合、勤怠の管理や割増賃金の計算、36協定の締結といった実務は委託先が担います。自社の総務部門が月々の残業時間を追う必要がなくなります。

ただし派遣の場合、労働時間の枠組みは派遣元が管理しますが、実際の指揮命令は派遣先が行います。派遣先として時間外労働を把握しておく責任は残りますので、「丸投げすれば一切関係ない」というわけではない点はご承知おきください。

交代要員がいることの意味

運転手の派遣を専門とする会社であれば、担当者が休んだときの代替を手配できます。1人体制に起因する長時間労働の構造そのものを避けられるという点が、自社雇用との大きな違いです。

コストの比較は総額で

自社雇用は年収ベースで400万〜600万円程度に加え、社会保険料や賞与、採用費、教育費がかかります。これに残業代と、労務管理にかかる総務部門の工数が乗ります。

外部委託の場合は、フルタイム(月20日・1日8時間程度)でおおむね月50万〜80万円前後が目安です。給与だけを比べると自社雇用が安く見えますが、管理コストとリスクまで含めると評価は変わります。費用の内訳は役員運転手の費用・料金相場で詳しく解説しています。

まとめ

役員運転手の労働時間と労務管理について解説しました。ポイントを振り返ります。

  • 役員のスケジュールに左右されるため、時間外労働が読みにくく上限管理が崩れやすい
  • 待機時間は、すぐ業務に戻る必要がある状態なら労働時間にあたる。休憩として処理していると後から覆るおそれがある
  • 労基法41条の適用除外許可を受けていても、深夜業の割増賃金は免除されない
  • 1人体制は、休ませられない構造そのものが長時間労働を生む
  • 外部委託なら勤怠管理と代替要員の手配を任せられる。ただし派遣先としての把握責任は残る

クアッドリレーションでは、車両の管理から運転・整備・燃料まで含めた役員専属ドライバーの派遣を行っております。急な欠員時も代替を手配いたしますので、1人体制に起因する長時間労働のリスクを避けられます。詳しくはサービスページをご覧いただき、まずはお気軽にお問い合わせください。

※ 労働時間の具体的な取り扱いや適用除外許可の可否については、管轄の労働基準監督署または社会保険労務士にご確認ください。

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