企業が役員の専属運転手を設置する際、自社で直接雇用する方法と、外部から専門のサービスを利用する方法の2つが存在します。
また、外部のサービスを利用する際には、「派遣」と「委託」の2つの形態から選択することが必要となります。
それぞれの選択肢には、利点と欠点があるため、それらをしっかりと理解した上で選択することが望ましいです。
今回の記事では、役員専属運転手を設置するにあたり、知っておくべき基本的な知識をわかりやすく説明します。

専属運転手とは

専属運転手というのは、一般的に企業や行政機関、時には芸能人などが所有する自家用車を運転し、指定された目的地まで乗り手を送り届ける役割を担う運転手のことを指します。
彼らの仕事は、公共交通手段や個人の車を使って車が所在する場所へと移動し、そこから自家用車に乗り換えて仕事を開始するというものです。
また、専属運転手が運転するのは、タクシーやハイヤーなどのビジネス用途の車両(いわゆる「緑ナンバー」)ではなく、一般的な自家用車(「白ナンバー」)です。そのため、仕事をするためには特別な資格を必要とせず、普通自動車第一種免許があれば運転することが可能です。
これは、普通自動車第二種運転免許を必要とする緑ナンバーの車両を運転する職業とは異なる点です。
専属運転手の募集方法は?
さて、ここではあなたが専属運転手をどのように探すか、その一連のプロセスを明らかにしていきましょう。
専属運転手という職業には、それなりの経験とスキルが求められます。
そのため、適格な人材を見つけるためには、具体的には2つの主要な方法があります。
ひとつは、自社で直接採用するという方法、そしてもうひとつは、外部の会社に委託するという方法です。
これらの方法はそれぞれに利点と欠点があり、自社のニーズと目標によって最適な方法が異なるでしょう。
社員の配置転換をする
自身の会社に属する社員を配置転換し、専属運転手として活用する手法には、いくつかの特典が存在します。まず、新たな雇用を創出することなく運転手を確保できるため、人件費という観点から見て経済的な利点があります。さらに、外部への求人活動に伴う手間や時間を必要としないという点も、この手法の利点として挙げられます。
しかし、同時にいくつかの課題も伴います。転職者となる社員は、タクシードライバーのような専門的な運転手ではないため、その経験や知識、技術、経歴といった面においては初心者となります。
これらの新たなスキルを身につけるための教育や研修の機会を提供する必要があります。
また、専属運転手としてのマナーや礼儀についても学ぶ必要があります。これらのことを考慮に入れ、社員の配置転換を行う際には、利点と課題をきちんと比較検討し、最善の決定を下すことが重要となります。
新たに自社で雇用する
新たな求人を出して、自社専属の運転手を採用する場合、応募者の過去の経験、専門知識、技術だけでなく、その人の性格や態度なども採用する際の判断基準となります。これは採用を担当する者が自由に判断できる部分です。
しかし、現代社会では人手が足りない問題があり、求人を出しても必ずしも多くの応募があるわけではなく、また、会社が必要とする人材を確保できるかどうかは保証されません。経験豊富な人材を採用できたとしても、配置転換の場合と同じように、その人を専属運転手として適切に働けるように研修を行う必要があります。
配置転換の場合も新たに自社で雇う場合も、人件費を負担するだけでなく、新たに雇用した人材が必要なスキルを身につけられるように教育の機会を設ける必要があります。これは、適切なサービスを提供するために、運転手が必要とする知識と技術を習得することを保証するためです。自社で運転手を雇用することは、資源と時間を必要としますが、それは適切なサービスの提供と、最終的には会社の成功のための投資と考えることができます。
外部委託をする場合

企業が専用の運転手を必要とする場合、自社で雇用するのではなく外部の業者に委託するという選択肢があります。このような場合、自社が所有する社用車の運行を、専門的な運転技術を持つ運転手を派遣あるいは請け負う業者に依頼するのが通常の手法となります。
これにより、運転を任せる車種を役員の個々の好みやニーズに合わせて選ぶことが可能となります。
つまり、一般的なハイヤーではなく、専用の社用車を活用することで、役員が自社の車両を独占利用することが可能となります。
また、運転手を外部委託することには他にも様々な利点が存在します。
まず、専属運転手の職務に必要なスキルを持った人材をすぐに確保できることが挙げられます。
さらに、委託先の業者から定期的に提供される研修等のサポート体制を活用することが可能となります。
これにより、自社の運転手が常に最新の知識と技術を身につけることができるという安心感を得ることができます。さらに、自社での採用プロセスに伴う費用や時間の削減も期待でき、企業の運営をよりスムーズに進めることが可能となります。
「派遣」と「請負」の違いを理解する
「派遣」は、労働者を一定の期間、他の事業主に提供する形式の労働です。この場合、派遣先である企業が運転手に対する直接的な指示や命令を出す役割を担います。
それは、労働者派遣法に基づく一定の責任を有するためです。
そのため、ドライバーの労務管理や彼らの雇用期間の制限、さらには何か事故が起こった場合の初期対応などは、派遣先である企業が行わなければなりません。
事故が発生した場合、賠償費については通常、企業が加入している自動車損害保険で補償されます。そのため、どの保険に加入するかは非常に重要な判断となります。
一方、「請負」は、特定の業務を請け負う形式の労働です。
ここでのメリットは、単に運転手を配属するだけでなく、車両の運行管理業務全体を請負会社に任せられることです。これにより、残業管理などの労務管理も請負会社に委託することが可能となります。また、事故が発生した場合でも、対応は全て請負会社が行ってくれます。
「派遣」と「請負」、これらはそれぞれに利点と欠点がありますが、本記事では特に、運転手の手配だけでなく車両運行管理業務全般を委託できる「請負」について、より深く見ていきます。
専属運転手の手配含みの車両運行管理業務の外部委託のメリットとデメリット

このセクションでは、専属の運転手を含む車両運行管理業務を、外部の専門業者に委託することの長所と短所について、深く探究していきたいと思います。
外部への委託は、企業のビジネス運営において一般的な手法となっていますが、その決定には慎重な考察が求められます。
それは、どのようなメリットがあるのか、またそれに伴うデメリットはどのようなものがあるのか、という観点から理解を深めていくことが重要です。これらの知識を身につけることで、皆様のビジネス戦略における意思決定をより有益なものにすることが可能となります。
専属運転手手配の依頼メリット
専属運転手の手配を依頼すると、それが持ってくる利点は3つと言えます。
1つ目は、求人募集にかかる時間と労力を節約できることです。自社で運転手を雇う場合、求人広告を出したり、面接を行ったりする必要があります。しかし、手配を専門に行っている業者に依頼すれば、そのような手間が省けます。
2つ目のメリットは、運転手の休暇や急なトラブルに柔軟に対応できることです。専門業者に依頼すれば、運転手が休暇を取得したり、急なトラブルが発生した場合でも、他の運転手を手配してくれるでしょう。
3つ目のメリットは、運転スキルが保証されていることです。専門業者は、顧客に満足度の高いサービスを提供するために、運転技術やマナーなど、運転手の質を高める研修を実施しています。そのため、運転手に安心して任せることができます。
これらのメリットについて、次節では詳しく説明していきます。
手間を省く求人募集方法
自社で専属運転手を採用するという事は、それなりの準備や手間を必要とします。まずは採用活動の計画から始め、適任者を見つけ出すための面接や選考を行います。その後、採用が決まったら新たな社員のトレーニングや育成に多大な時間とエネルギーを投資しなければなりません。特に、過去に専属運転手を採用した経験がない企業にとっては、これらのプロセスは自社の自家用車を利用するよりもかなりのコストと時間を消費します。
しかし、専属運転手の手配を外部に依頼することで、これらの手間を大幅に削減することが可能となります。依頼を行えば、役員運転手として必要な技術や知識を持った人材をすぐに配置することができます。これにより、企業は資源をより重要な業務に集中させることができ、全体の効率を向上させることが可能となります。
運転手の休暇と緊急対応の容易さ
私たちが雇用した専門の運転手が予期しない病気や傷害により急な休暇をとる必要があった場合、即座に代わりの運転手を見つけることは、現実的には困難な課題となります。
しかしながら、専門の運転手を雇用している場合、代替要員としての運転手を準備することが可能です。これにより、運転手の不在による業務の停滞を防ぐことができ、安心して業務を継続することが可能となります。
確保された運転スキル
企業が新たに運転手を採用する場合や、既に在籍している社員を運転手のポジションに移行させる際、その運転技術がどの程度なのかを確認する必要性が生じます。一般的に「慎重な運転をする」と評価されている人物でも、高いポジションの役員を乗せるという状況になると、緊張感から普段の運転力を発揮できないことも考えられます。
だからこそ、車両運行管理業務を専門に行う業者に所属する専属運転手の利用が推奨されます。彼らの運転技術は、役員を安心して、そして快適に目的地まで送迎することが保証されています。だからこそ、安心感を持って彼らに運転を任せることができるのです。
専属運転手の手配を依頼する際のデメリット
一方で、専属運転手を手配するといった車両運行管理に関連する業務を外部に委託する際のデメリットについて触れてみましょう。それは、「請負契約」の形をとることから来る制約です。
請負契約は、契約に明記された範囲の業務のみを委託先に依頼することができる契約形態です。これは、契約範囲外の業務を依頼することができないという制約を伴います。つまり、契約内容に含まれていない業務を急に依頼したいと思った場合、それが可能でない可能性があるというのがこのデメリットとなります。
契約範囲外の業務の依頼は可能か
私たちが車両の運行管理業務を外部の専門企業に委託する際、その業務内容は契約で明確に定められた範囲内で行われます。これは、運転手の手配など、具体的な業務の実施においても同様です。
例えば、運転手が待機時間を持つことになったとしても、それが契約範囲外の業務を依頼することにつながるわけではないと理解していただく必要があります。契約範囲を超える業務の依頼は許されていないため、その点については特に注意を払うべきです。
車両運行管理業委託時の運転手手配以外のサービス内容

車両の運行管理業務を専門的に行う企業に依頼することで得られるメリットは、ただ単に送迎サービスを行うだけではありません。その他にも様々なサービスが提供されます。今回は、そんな車両運行管理業務を委託した際に得られる主要なサービスの内容について、詳しくご紹介していきたいと思います。
運転管理業務全般について
目的地までの送迎業務だけでなく、運転業務に関する管理業務(労務管理など)全般を委託先が対応します。
車両のメンテナンスと保守
我々が使用する車両には、日々、各種の点検や整備作業、燃料の補給といった維持管理の作業が必要となります。
これらの作業は、車両の性能を維持し、安全に運転するための極めて重要なプロセスであり、我々のパートナーである委託先が丁寧に対応してくれます。
また、これらのメンテナンス作業はもちろん、乗車前の各種チェックや車内の清掃といった車両の環境を整備する全体的な作業も、委託先が責任を持って行ってくれます。これにより、我々は常に最適な状態の車両を使用することが可能となり、安全かつ快適な移動を提供することができます。
事故やトラブル対応
もしもの状況、つまり事故が起こった時の対応についてですが、全ては委託している会社が責任をもって対応を行います。この委託先の会社は、車両保険などの必要な保険も加入しており、そのため事故が生じた際には、自社で対策を講じる必要が全くありません。
さらに、もしもの事態に遭遇したとしても、車両の運行業務は何の問題もなく続けることが可能です。それゆえに、自家用車を利用するよりも、事故が起きるリスクを自己負担する必要がなく、安心して利用できるのです。
ただし、ここで述べたことは一般的な話であり、具体的な内容については委託先の企業により異なる可能性があります。それぞれの委託先企業の具体的な対応策や保険内容については、直接その企業に確認することをおすすめします。
まとめ
私たちがこれまでに紹介してきた役員の専属運転手に関する基本的な知識をおさらいします。社内から適任者を選び、その人を専属の運転手として活用することも一つの方法です。ただし、その場合には、運転技術や礼儀作法など、専属運転手として必要なスキルを身につけてもらうことが必要となります。
一方で、専属運転手の派遣や請負を行う専門の会社に依頼することで、すぐに適切なスキルを持った専属運転手を配置することが可能となります。さらに、単に専属運転手を派遣するだけでなく、車両運行全般を管理する会社に業務を委託することを私たちはお勧めします。その理由は、プロのドライバーの手配だけでなく、車両の運行全体や、万が一の事故発生時の対応なども、車両運行のプロフェッショナルに任せることができるからです。その結果、発注する側は車両運行に関する煩雑な人事労務管理から解放され、自社の主力業務に集中することができます。
弊社、株式会社クアッドリレーションは、「派遣」ではなく「請負」を行っており、車両の管理から運転手の人事労務管理まで、車両運行に関するすべてを一手に引き受けることができます。お気軽にご連絡、ご相談ください。
